2022/01/06
法人?大学

新年のご挨拶 理事長 矢﨑 義雄/学長 林 由起子

―校是「奉仕」の精神の下でー

理事長 矢﨑 義雄

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 謹んで新春のお慶びを申し上げます。そして新しい年を迎え、皆様に年頭のご挨拶を申し上げます。

 昨年は、5波に及ぶCOVID-19の感染拡大により、高齢者を中心に多くの生命が失われ、日常生活も厳しく制限されて経済活動も深刻な状況に陥りました。さらに、社会の安心と安全の基盤となる医療も逼迫するに至りました。そのような状況の中で本学は、校是のひとつである「奉仕」の精神の下、大学病院、茨城医療センター及び八王子医療センターの3附属病院が、重症、中等症患者を中心に重点的に対応して、1,500人以上の多数の患者を受け入れて治療に当たり、医療崩壊を防止いたしました。それにより東京都をはじめ地域社会から厚い感謝が寄せられています。

 昨年末になってCOVID-19も漸く収束に向かい、新年を迎えることが出来ました。大学にも日常が戻りつつあり、新宿キャンパスには学生の活動が久々に見られ、附属病院での診療活動も、コロナ対策への厳しい制限があるものの通常に戻りつつあります。そこで、診療体制の確立とともに安定的な財政基盤を取り戻すべく、新年に当たってこれからの大学法人の活動方針につき述べたく存じます。

 平成の終わりに明らかとなった入試に関する不祥事により、全額不交付とされた私立大学等経常費補助金は、大学運営の透明化とガバナンスが適正に機能する体制の構築、入試システムの抜本的な改革などの再発防止策の確実な実施により、段階的に復活が認められました。さらに、取り消されていた大学としての機関別認証も再認証され、本学は難関を乗り越えつつあります。

 そこで、これからの新たな展望を見据えた展開を図る必要があります。

 まず本校には、大学病院がある西新宿キャンパス、学部の新宿キャンパス、茨城医療センター及び八王子医療センターがありますが、全体の施設整備を俯瞰的な視点から検討する態勢が整えられておらず、プロジェクトごとにその都度検討するにとどまり、整備計画が必ずしもバランスが取れていなかったのではと思っています。そこで、施設設備の整備計画に財政的な観点を加えて、全学的な意見を集約して検討する、卒業生理事も参加した将来構想統括会議を立ち上げ、懸案となっている共同ビル(仮称)の具体的な利用計画に基づいた設計を始め、八王子医療センターの診療棟の新築、老朽化した新宿キャンパスの整備、看護宿舎のコスモハウスの活用などを中心に、検討を始めています。

 近年、茨城医療センターを取り巻く環境が、人口の高齢化に加えて過疎化が進展して、運営が極めて厳しい状況となっており、早急な改革が迫られています。地域の方々は、高度先進医療よりも、大学病院として安心安全な医療を求めています。即ち、一般的な総合診療と救急医療の充実が求められているのです。従って、大学病院としての従来の診療体制の維持は最早不可能であり、少なくとも総合診療の視点からの再編が避けられない状況になっています。幸いに総合診療の我が国の第一人者である福井次矢先生を病院長にお迎えしたことにより、特徴ある大学病院としての再生をぜひ実現したく存じております。

 本年も大学運営のリスク管理の徹底と評価の向上に向けて、職員と共に一丸となって最善を尽くす所存です。何卒ご支援のほど宜しくお願い申し上げます。

変革の時

学長 林 由起子

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 皆様、明けましておめでとうございます。

 Withコロナになって2年。「あたりまえ」であった人々の生活に多くの変化が生じています。大学教育も変革の時を迎えています。

 東京医科大学では、オンライン講義の充実により学生の能動的な学びが定着し、学修成果の向上が実証されてきています。Virtual Reality (VR)を活用した臨床実習も好評で、新たな教材の作成も進めています。一方、学生生活の中で培われる人と人とのつながりの大切さも実感しています。対面講義?実習の良さが改めて見直され、昨年は密にならずに安心して講義を受けられる環境整備を行いました。担任や相談教員、学生?職員健康サポートセンターなどによる積極的かつきめ細やかなアプローチは、不安定な環境下で学生の皆さんの大きな心の支えになっていると思います。懸念されるのは、2年間に及ぶ課外活動の制限や東医祭の中止で、先輩から後輩へと代々受け継がれてきた各活動の伝統が危機に瀕していることです。大学としてできる限りサポートしていきたいと考えています。

 コロナ禍であっても本学は変革を続けています。2021年4月から大学基準協会の機関別認証が再認証され、私立大学等経常費補助金も段階的回復を果たしています。2022年度は医学科、看護学科ともに分野別評価を受審します。教育?研究の活動全体は、一昨年に運用を開始した内部質保証制度のもと、評価?点検を継続することで、さらなる質の向上を目指しています。

 本学の信頼回復に最も重要な「公正な入学試験」を継続しつつ、アドミッションセンターを中心に入試広報に力を入れるなど、様々な入試改革が実施されています。

 医学科は、受動的な学修から能動的な学修へと大きく軸を変え、学生の意見も反映させたカリキュラムの改善?改編を積極的に進めています。昨年は「データサイエンス」、「基礎医学統合演習」、「感染症実践コース」を新規に導入いたしました。低学年から自主的に基礎研究に参画する学生も増えています。2022年度からは、自主的に学びたい学生のニーズに応えるために、新たに4つの自由選択コース(地域医療リーダーコース、海外臨床実習コミュニケーションコース、USMLE受験準備コース、リサーチコース)を開始します。看護学科は2021年度より新カリキュラムに移行し、その成果を検証していきます。医看薬の多職種連携授業に加え、医看合同シミュレーション教育の開始など、医学科?看護学科の連携も深まっています。大学院教育では、オンデマンド講義を活用することで研究時間の確保につなげています。

 研究面では、「患者に優しい医療」を全面に打ち出した研究のブランド化を図っていきます。ダイバーシティ推進センターも新たな体制で活動を始めました。

 今後も一人一人を尊重し、それぞれが個性及び能力を十分に発揮できる柔軟かつ強靭な組織づくりを目指すことにより、歩みを止めることなく新生東京医科大学の活性化を目指していきます。

 皆様にとりまして幸多き1年であります様、心よりお祈り申し上げます。

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