2023/11/27
大学院 研究活動

本学大学院医学研究科 博士課程1年 宮城碧水さんが、第96回日本生化学会大会若手優秀発表賞を受賞

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指導教員の薬理学分野 金蔵孝介主任教授(左)と受賞した宮城碧水さん(右)

 2023年11月8日、本学大学院医学研究科 博士課程1年 宮城碧水さんが、第96回日本生化学会大会若手優秀発表賞を受賞されました。

 この賞は、日本生化学会大会において、ポスター発表に加え、口頭発表に選抜され優秀な発表をした若手会員に対し授与されるものです。

 日本生化学会は、長い歴史を誇る生物学と化学との融合分野の大規模な学会であり、毎年1回、大会が開催されています。宮城さんは、第96回日本生化学会大会において「筋萎縮性側索硬化症(ALS)原因ジペプチドリピートの細胞内局在および毒性メカニズムの解明」と題した発表を行いました。口頭発表とポスター発表の双方に採択され発表したところ、研究発表および研究内容が特に優れているとの評価を受け、「若手優秀発表賞」の受賞となりました。

指導教員コメント(薬理学分野 金蔵孝介 主任教授


 筋萎縮性側索硬化症(ALS)で最も高頻度に観察される変異遺伝子C9ORF72から産生されるpoly(Pro-Arg)とpoly(Gly-Arg)の2種類のジペプチドリピートは強い神経毒性を示します。これらは類似の配列を持つにもかかわらず細胞内局在や毒性機構が異なることが知られており、その機序は不明でした。宮城さんは類似の構造を持つ変異体を数十種類作成し、プロテオミクスや数千個に及ぶ細胞染色の結果、ProとGlyが電荷の分離度と結合の多価性に果たす役割を明らかにし、これらの局在及び毒性の違いの分子機構を明らかにすることができました。本研究は既に国内外から高く評価されており、また学会では堂々と質疑応答をこなしたことで今回の受賞につながりました。宮城さんのコツコツと目前の課題を1つずつ丁寧に解決していく姿勢に非常に感銘を受けるとともに、これからも研究に励んでいただき、いつかALS患者さんへ福音を届けることができればと心より祈念しております。

受賞者コメント(大学院医学研究科 博士課程1年 宮城碧水さん)


 この度は、このような歴史ある学会で若手優秀発表賞を受賞することができ大変光栄に思います。本研究では家族性ALSの最も高頻度な原因遺伝子であるC9ORF72から産生される毒性蛋白poly(Pro-Arg)およびpoly(Gly-Arg)の細胞内局在や毒性機構の違いを制御する分子メカニズムを明らかにし、ポスターおよび口頭セッションにて研究成果を発表させていただきました。本学会に参加して分野内外の多くの先生方や学生の皆さんとディスカッションすることができ新たなアイディアの創出に繋がったと同時に、多くの刺激を受けました。

 研究や発表練習など手厚くご指導を賜りました薬理学分野 金蔵孝介主任教授、分子病理学分野 黒田雅彦主任教授、並びに薬理学分野、分子病理学分野の皆様に深く御礼申し上げます。今後もより一層研究に励み、研究成果をALS患者さんへ還元できるよう精進して参ります。

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